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読書熱の波

2008年07月09日 21:52

読書熱には波がある。
とにかく本がおもしろくて、どんどん読みたくなる時期と、
まるで読む気がしない時期というのが、私にはある。

私は仕事柄ビジネス書やその他の資料を読むことは一年中コンスタントにやっているが、小説を読む機会は極端に減ってしまっている。

そんな私にときおり読書熱がやってくるのだ。
本屋のなかをふらふらしていると「クイッ、クイッ」と引っ張られるように本を買ってしまうときがある。
同じ本を目にしても、感じるときと、感じないときがあるから不思議である。
結局、読書というのも、タイミングが大事なのだろう。
そして、タイミングよく買った本は、たいていおもしろい。
そうやって、しばらく読書熱が続くことになる。

今回、私に火を付けるきっかけとなったのは、角田光代「八日目の蟬」だった。
正直に言って、「最高におもしろいよ。いますぐ読んでみて!」という小説ではない。(少なくとも、私にとっては)
でも、「ああ、小説ってこういうものだったなぁ」と、心地よく物語の世界に浸れる秀作だ。
少し雨が降っている日に、久しぶりにていねいにアールグレーの紅茶を入れて、静かな場所で、座り心地のいいイスに座って読むにはなかなかいい小説だ。
「そんな素敵な環境なら、どんな小説でも気持ちいいだろっ!」
と言う人がいるかもしれないが、それは間違いだ。

「八日目の蟬」の次に「のぼうの城」(和田竜著)を読んだが、こちらは電車のなかでゴリゴリ読みたい小説である。
天気とか、紅茶とか、静かとか、イスとか、そんなものは関係ない。
腹ぺこの時に食べるカツカレーのような味わいだ。

「のぼうの城」のような痛快な話とか、どんどん先が知りたくなるミステリーの類と、心地よく物語に浸りたい小説とは、本としてのあり方が根本的に違う。

本にはカツカレー型とアールグレー型があるわけだ。

どうしてもカツカレーというときもあれば、なんとなくアールグレーが恋しいときもある。もちろん、どちらもいらないときもある。

私の読書バランスで言えば、カツカレー3にアールグレー1くらいが、一番気持ちいい。
実際に、カツカレーを3杯食べて、アールグレーを1杯飲むのでは、胃腸がやられてしまうが、本の場合はこの割合が絶妙だ。
アールグレー型ばかりを好んで読む人もいるが、私はそのタイプではない。
やっぱり、カツカレーをゴリゴリやって、ときおりじんわりとアールグレー。
これが最高だ。

ただ、誰かと本の話をするとき、カツカレー型よりも、アールグレー型の魅力を共有できたほうが、なんとなく親密になれた気がする。
やはり、カツカレーを食べながら真面目な話はしないが、アールグレーを飲みながらなら、深い話もするということなのだろうか。
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