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「時間の流れ」と「歳のとり方」

2008年07月24日 03:53

野茂英雄投手が引退した。

私は、野球にはあまり興味がないのだが、野茂には特別な思い入れがある。
じつは、野茂がメジャーに挑戦した当時、ニッポン放送でメジャーリーグ情報を紹介する番組のパーソナリティをしていたことがあるからだ。
その頃、野茂は本当に活躍していた。
95年にはオールスターで先発投手となり、96年にはロッキーズ戦でノーヒットノーランを達成している。
このとき、マウンド上でチームメイトにもみくちゃにされながら、不器用な笑顔を見せていたことをいまでもはっきりと覚えている。

脳裏に焼き付いているスポーツシーンはいくつもあるが、
野茂のノーヒットノーラン(一度目)はまちがいなくその一つだ。

その野茂が引退する。
そう聞くと、ああ時間は確実に流れていたんだなぁと思う。


話はものすごく変わって、昨日友人に子どもが産まれた。
大学時代からつきあいのある人で、親になることはおろか、結婚することさえ考えられないようなタイプだったのだが、結局人の親となった。

やっぱり、時間は確実に流れていたのだ。

日々生活していると、時間の流れなんてリアルに意識はしないけれど、
ふとしたタイミングで、考えさせられることがある。
連続する時間の中にできたエアポケットみたいな感じで、これまでの時間と、これからの時間を考えて、ちょっと感慨にふけったりする。
登山の途中で一旦止まり、これまでの道と、これからの道を眺めるみたいな感じだ。

最近は、いろいろな出来事がある。
別の友人からも妊娠の報告を受けたり、親戚のおばさんが亡くなったり、
会社を辞めるヤツもいれば、ちょっとした病気で入院するという友人もいる。

いろいろあると、「5年後、10年後はどうなっているんだろう」なんて考えてみたりする。

そんなテーマを考えるときは、照明が暗く、静かなクラシック音楽が流れているバーのカウンターで、丸く削った氷をカラカラと鳴らしてみたいものだが、そもそも私はお酒が飲めない。
一人でバーのカウンターなんかにいたら、手持ちぶさたで落ち着かないのだ。

仕方がないから、散歩の途中で江戸川の土手に座って考えるしかない。

20歳くらいの頃、「きっと何年か後には、行きつけのバーのお気に入りの席に座って、いい感じでスコッチかなんかを飲んでるんだろうなぁ」と思っていたが、結局そうはならなかった。

時間が流れても、変わるものと、変わらないものがあるということだ。

変わるべきものは変わり、
変わってはいけないものは変わらない。

いい歳のとり方とは、きっとそういうことなのだろう。
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読書熱の波

2008年07月09日 21:52

読書熱には波がある。
とにかく本がおもしろくて、どんどん読みたくなる時期と、
まるで読む気がしない時期というのが、私にはある。

私は仕事柄ビジネス書やその他の資料を読むことは一年中コンスタントにやっているが、小説を読む機会は極端に減ってしまっている。

そんな私にときおり読書熱がやってくるのだ。
本屋のなかをふらふらしていると「クイッ、クイッ」と引っ張られるように本を買ってしまうときがある。
同じ本を目にしても、感じるときと、感じないときがあるから不思議である。
結局、読書というのも、タイミングが大事なのだろう。
そして、タイミングよく買った本は、たいていおもしろい。
そうやって、しばらく読書熱が続くことになる。

今回、私に火を付けるきっかけとなったのは、角田光代「八日目の蟬」だった。
正直に言って、「最高におもしろいよ。いますぐ読んでみて!」という小説ではない。(少なくとも、私にとっては)
でも、「ああ、小説ってこういうものだったなぁ」と、心地よく物語の世界に浸れる秀作だ。
少し雨が降っている日に、久しぶりにていねいにアールグレーの紅茶を入れて、静かな場所で、座り心地のいいイスに座って読むにはなかなかいい小説だ。
「そんな素敵な環境なら、どんな小説でも気持ちいいだろっ!」
と言う人がいるかもしれないが、それは間違いだ。

「八日目の蟬」の次に「のぼうの城」(和田竜著)を読んだが、こちらは電車のなかでゴリゴリ読みたい小説である。
天気とか、紅茶とか、静かとか、イスとか、そんなものは関係ない。
腹ぺこの時に食べるカツカレーのような味わいだ。

「のぼうの城」のような痛快な話とか、どんどん先が知りたくなるミステリーの類と、心地よく物語に浸りたい小説とは、本としてのあり方が根本的に違う。

本にはカツカレー型とアールグレー型があるわけだ。

どうしてもカツカレーというときもあれば、なんとなくアールグレーが恋しいときもある。もちろん、どちらもいらないときもある。

私の読書バランスで言えば、カツカレー3にアールグレー1くらいが、一番気持ちいい。
実際に、カツカレーを3杯食べて、アールグレーを1杯飲むのでは、胃腸がやられてしまうが、本の場合はこの割合が絶妙だ。
アールグレー型ばかりを好んで読む人もいるが、私はそのタイプではない。
やっぱり、カツカレーをゴリゴリやって、ときおりじんわりとアールグレー。
これが最高だ。

ただ、誰かと本の話をするとき、カツカレー型よりも、アールグレー型の魅力を共有できたほうが、なんとなく親密になれた気がする。
やはり、カツカレーを食べながら真面目な話はしないが、アールグレーを飲みながらなら、深い話もするということなのだろうか。